dec,2001
 









パリ中がノエル展

1年中で一番パリらしいのは、この季節かもしれない。11月中旬から街中ノエルの飾り付けが始まり、12月ともなると夕方5時頃にはもう真っ暗で、一斉にイルミネーションが輝き街の空間を演出する。どんな小さな街でも商店街には必ず星や雪の結晶などのネオンが輝き、1年の締めくくりを、生きていることを、自然に感謝したくなるような気分にさせる。

シャンゼリゼの並木に掛かる星の数ほどのリュミエールに始まり、マドレーヌ界隈では、グルメの国を代表するフォションやエディアールがシャンパン、フォアグラ、ブッシュ・ド・ノエル、チョコレートなどを芸術的にディスプレイしてみせる。ゴージャスな雰囲気を味わいながら、オペラ座の方へ歩いていくと、デパートのショーウィンドウでは機械仕掛けの人形たちがお伽の国を動き回り、子供も大人もひとつにする。

現代美術家のクリストは、巨大なピンクの布で建物や街を覆っていたけれども、この街が作る光の中にいるだけで、誰もがアートに触れる事ができる。展覧会へ足を運ばなくても、肩の力をぬいて街を歩いているだけで日常を少し忘れそうになる。

オペラ・ガルニエでは、フォーキン、ニジンスキー、ロビンス振り付けによる華やかな「バレエ・スペクタクル」。オペラ・バスティーユでは下町のパリを舞台に貧しい画学生と娘達の恋物語を描いたプチーニ作曲の「ラ・ボエーム」と、パリ・オペラ座バレエ団による華麗なインド絵巻「バヤデール」が行われている。この他、最も成功したフランスのミュージカル「ノートルダム・ド・パリ」や、昨年度音楽劇最優秀作品のオッフェンバック作曲のギリシャ神話「美しきエレーヌ」など、劇場はどこも年末年始の催し物でいっぱいだ。

また、パリに150もあるといわれる教会では、パイプオルガンによるコンサートもよく行われている。信者でなくても無宗教でも、教会を訪れればステンドグラスから漏れるその光の厳かな美しさと、パイプオルガンの奏でる音に思わず祈りたくなることもあるだろう。そして、ノエルを舞台にした物語に教会はつきものだ。

今も、教会の裏にスープを貰いに集まってくる貧しい人達がいる。マッチ売りの少女の物語を思い出したり、教会へ行かなくても神様のことを考えたりする。この21世紀の始まりは多くの人を悲しませた年だったけれど、きっとこれからは良くなるだろうと深く考えずに思いこむ。

ところで、パリでは12月5日にハリー・ポッターが映画上映されて、子供達は魔法の国にますます夢中だ。空想してこの世界とは違う世界があるということを楽しんでいる。そして、もしかしたら信じているのかもしれないし、何よりノエルの雰囲気が私達に夢を見させる至福のひとときである。


 

●amiart


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