nov,2001
 

 

 

 

13区のギャラリーとグラフィズム展


特にここ数年、パリ13区は動き続けている。1994年には建築家ドミニク・ペローにより4つの建物からなるフランソワ・ミッテラン国立図書館がオープン。1998年にメテオールといわれる無人のメトロ14番線が開通してからは、パリの中心との行き来が簡単になり人の流れも変わりだした。今やかつての中華街のイメージから一新して、重要なアートの発信地となっている。

メテオールの終点、国立図書館駅を降りてしばらく行くとルイーズ・ウェイス通りに出る。ここには13区の地域改造計画で出来た、現代美術を専門に扱うギャラリーが立ち並ぶ。今年のはじめに、村上隆氏の展覧会が行われたギャラリー、エマニュエル・ペロン。そしてジェニファー・フライは、かなり尖がった国際的なギャラリーとして有名だ。マレ地区の画廊がパリ的なのだとすれば、この通りはコスモポリタン的といえるだろう。

また、変わったところでは1919年から1971年迄、冷蔵倉庫として使われていた建物が、今はアーティストのアトリエとして、通称フリーゴと呼ばれ利用されている。こちらの方はどちらかというとダウンタウン的な風合いで、この雑多さが結構おもしろい。

歩いていると、あちらこちらに13区の目印ともいえるグレー地に蛍光イエローのポスターが目に付く。通りの名前や建築現場などの表示、そして街作りの説明をしており、統一されたデザインは美術館のパネルのように美しい。街が整って見えるし、何といってもわかりやすく、訪れる人に親切だ。

国立図書館で開催中のグラフィズム展では、この街のデザインをトータルで手掛けたローランス・マドレルの仕事をはじめ、世界から集めた1997年から2001年迄のポスター、パッケージ、ロゴ、標識等のデザイン作品を展示している。

街の景観は歴史的モニュメントのみにとどまらず、また新しいものだけでなく、壊れたもの、作りかけているもの、全てのもので成り立っている。

13区の持つ、色々な人種が入り混じりながら生れた独特の空気は、グラフィズムによってひとつの風景となり訴えかけてくる。それは、多様性を尊重しながら、共有する街を作り上げていこうとする力。そして、避けられない異文化との共存に対する可能性と、新たな方向性を打ち出しているような気がする。

●amiart



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