april 2009
 

ケ・ブランリー美術館

musee du quai Branly
37,quai Branly 7e


www.quaibranly.fr


 
















 アフリカ美術にも造形の深いシラク元フランス大統領の肝いりで1998年から開館の構想が練られ、2006年にオープンしたオセアニア、アジア、アフリカ、アメリカのアートを専門とした美術館。

 ガラスのパーテッション越しに深い紅、緑、青、黄土色といった色合いの突出したキューブの外壁が迫る。何のための、或いは誰のための建造物かといったような、施主の意志を明確に主張し、アフリカ美術の殿堂として、来館者に強く意識・期待させる。建築は、パリ市内だけでも、アラブ世界研究所、カルティエ現代美術館などでフランス人にも人気のジャン・ヌーベル。

 入り口から続くスロープの床面には映像が映し出され、小学生低学年とみられる子供たちが引率の教師とボランティアの人達とともに踏み絵のようにはしゃいでいた姿が印象的。フランスでは、授業としてごく小さい年頃から美術館の招待客として学芸員から解説を受ける機会に恵まれ、優遇されている。展示会場に入ると館内は薄暗く、太古にタイムスリップしていくかのような感覚である。

 「プリミティヴ」「プリミティブミズム」と呼ばれる民族美術は、先史時代や非西洋文化、つまり未知の世界・反文明の産物への関心や憧れとして、1769年からヨーロッパ列強国の探検隊が次々にアフリカ大陸に乗り込んだことで「発見」され、19世紀初頭の植民地化を契機に「文明を卓越した官能的な異国情緒」として、万国博覧会の目玉として人々の興味をかきたてた。ピカソやゴーギャン、モディリアニー、ブランクーシやジャコメッティなど多くの芸術家が影響を受けてきたことは周知されている。原始的な人間の営みが美術としての地位を確立したのは、1989年にポンピドー・センターで開催された「大地の魔術師たち」展からであろうか。  

 ケ・ブランリー美術館のコレクションは30万点に及び、彫刻、装飾品、衣装、楽器、平面と多岐にわたっている。現在に伝わる習慣や祭事などの映像も見応えがある。ただし、膨大な作品数だけあり、見終える頃にはやや食傷気味の感もあり、改めて「人間の生」を生々しく感じざるを得ない。館外に出ると子供向けのミュージアムグッズが充実したショップがある。草原のような緑に包まれた小径を歩きセーヌ川端にでると、美術館の背後にエッフェル塔がそびえていた。
 


 

●linlin


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