july 2009
 

メゾン・アトリエ・フジタ
  


La maison-atelier
Foujita





7, route de Gif 91190 Villiers-le-Bacle
www.essonne.fr


 































 画家フジタは最後のアトリエ兼住居を一般公開するよう遺言に残した。そしてそれは、死後23年経った1991年にようやくかなえられた。
 
 1960年11月にフジタはこの18世紀に建てられた田舎の小さな家を購入し、1968年に亡くなったあともそのままの状態になっている・・。

 パリからRERのB4号線で南西に向かうと、40分ほどでGIF-S-YVETTE駅に到着した。アトリエは土日曜日のみ開館、ということで日曜日に訪問することにした。ところが、なんとも閑散とした駅とバスターミナル。嫌な予感は的中し、、「日曜日にはアトリエまでの循環バスは運行していない。」という、、。絶望的な顔をした私に「5キロだから歩いていけるよ。」と親切なんだか本当なんだか、悲しくなったが、また出直す時間もないことを考えると、イチかバチか行くしかなかった。。。何人に道を尋ねただろうか、奇跡的にもアトリエにたどり着く事が出来たのは好奇心旺盛なしかも献身的なフランス人達の支えのお陰であった。この場をお借りして感謝申し上げたい。

 アトリエ兼住居は、フジタのネームバリューを考えると想像以上に小さい建物であった。建物の真ん中に飾られた「S」字は、この地方独特の魔よけのようなものでフジタの仕業ではないそうだ。そう言われて見渡せば、お向かいの家の壁にも斜めに「S
」がつけられている。

 見学の入り口は建物右側から、裏庭に回り、日当たりのよいキッチンから建物に入り
ダイニングへと続く、狭い階段をあがると、道路側の玄関に出て、そこからリビングとつづき、奥が寝室になっている。玄関入り口のドアは、フジタがスペイン旅行の際に買い求めたもの。

 建物内は撮影禁止でご紹介できないのが残念ですが、エコール・ド・パリの寵児として型破りのイメージをもつ画家のつつましい実生活を目の当たりにし、フジタへの先入観が少しだけ塗り替えられた想いがした。しかしながら、人は誰でも、自分の居住空間には自分の気に入ったものを並べ、何の邪魔をもされずに暮らすことが一番の贅沢なのかもしれない・・・。

 自分の着る服は自分で縫製していたフジタであるから、家具や調度品、キッチンのタイルまでにも自分の手をくわえ、お気に入りのものに変身させている。

 屋根裏は、画家のアトリエになっている。窓は雨戸が閉められ、やや薄暗いワンフロアーだが、南向きの窓から裏庭の木々が気持ちよく拡がるのを想像するのはたやすかった。
 
 部屋の正面の漆喰の壁には、中央には十字架にかけられたイエス、その左側にはイエスを抱くマリアと取り巻く古の芸術の巨匠達の姿が描かれている。
これは、フジタが1959年に洗礼を受けたランスの教会の壁画制作のための技術的な習作との説明であった。1966年、80歳の時にシャペル・フジタ(Le Chapelle Foujita)は完成し、その2年後にフジタは癌のためスイスで没す。

 アトリエには、君代夫人もうかつには踏み込めない雰囲気だったと聞いたが、フジタの息づかいが聞こえてきそうな時間の止まったような空間であった。制作道具一式の他に、主人を待つイーゼル、作りかけの大小様々な額、大きな机の上に「めがね置き」と書かれた手製の木盆、部屋の奥には黒光りするミシン、ここにあるすべてのものが、作品のモチーフとして描かれてきたに違いない。

 隣接する建物はフジタの資料館になっていて、日本語のビデオも上映されゆっくりと楽しめる。

 フジタのお墓のあるヴィリエール=ル=バークルの教会は、駅からの目抜き通りの突き当たりにある。1971年にランスのシャペル・フジタの礼拝堂の地下納骨所から君代夫人によって持ち出されたフジタの遺骨は、2003年に君代夫人によって再びランスの礼拝堂に戻されるまでこの教会に安置されていた。現在はランスで二人安らかな永遠の眠りについていることであろう。

 


 







 


 

●linlin


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