sep 2009
 

ピカソ美術館(サレ館)
  


Musee National Picasso,Paris
(Hotel Sale)



5, rue de Thorigny 3e
www.musee picasso.fr


 





















  

 サンジェルマン・デ・プレ周辺の喧噪からマレ地区方面に向かうと、どこからか急に閑静な街並みに変わる。古く王帝時代には大修道院の沼(マレ)があったところで地名の由来になっている。ルイ14世の時代に塩税徴収官であったピエール・オーベールが1656年から3年かけて建設した邸宅で、そのことから「サレ館(塩の館)」と呼ばれていた。

 このピカソ美術館は、世界に4つあるピカソの美術館のなかでも、ピカソの死後、遺族が相続税の代わりに物納した作品がコレクションの中心となっているため、その収蔵品の点数はもとより、1973年にピカソが死去するまで手放さなかった貴重な作品が多いことでも知られている。

 美術館改装のためにコレクションが世界各地を巡回し、東京では新国立美術館とサントリー美術館で大規模な回顧展が開催されたのは昨年の10月だった。その時、「何かが違う」と感じたのは一新された白い額に依ることは分かったが、何故この「白い額」なのであるかは、不明であった。

 今回、ここを訪れてその答えを見つけたような気分になれて、もやもやがすっきりした感じであった。というのも、この時、ダニエル・ビュランの非常設展(インスタレーション)が開催されていた。「国立ピカソ美術館はコンテンポラリーアートへの開放という方針に基づき、ダニエル・ビュラン展を行う。」と「明記・宣言」されていたのである。現代美術への参入の証しとしてのリニューアル。

 サレ館の随所に見られるダニエル・ビュランの作品展示「分断」は、「素材に入る」と題された、建物の新しい使い方を提示する「in situ(自然の中で)の作業」の最初のシリーズを展開している。

 美術館の門を入ると広場を分断する高さ16.60m・幅11.50mの「壁」が立ちはだかっている。さらに、その壁面は黒とミラー(鏡)に斜めに仕切られ、ふたつの大きな細長い三角形に分断されている。反射率の高いポリカーボネイトを素材として、工事用の組立足場によって支えられている。

 この反射する「ブレード」は3階建ての建物の内部を突き抜け、もう一方の側の窓から外に出て、国立ピカソ美術館の庭の中に11.50m延び、そこで終了する。

 美術館内の公共空間、入り口ホール、大階段、サロン・ジュピターなどを鏡を多用して分かりやすい形で変身させている。また、ダニエル・ビュランはファサードの右側の窓と「名誉の庭」側の右半分の窓に彩色をほどこしている。

 午前中ファサードに陽があたると、階段部分が白い光と石とが交互に繰り返す模様となり、入り口ホールとサロン・ジュピターの鏡のスペースが5色の反射を受けて光、時間の経過により新しい形が生まれては消え、とくり返し、鑑賞者を愉しませてくれる。

 ピカソ美術館の5000点を超える収蔵作品には、ピカソ制作の絵画、彫刻、デッサン、陶器、版画の他書簡や写真資料だけではなく、彼自身が収集したブラック、セザンヌ、ドガ、マティスなどの作品も含まれる。ピカソの作品は、青の時代、バラ色の時代、キュビズム、新古典主義、シュルレアリスムト年代順に展示されている。

 









 


 

●linlin


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