aout,2002
 







彫刻家アルベール・ブキヨンと
その家族
 



       








パリ15区の瀟洒な住宅街に、ヴィラ・サントス・デュモンはあった。ここは、モンマルトルやモンパルナスとは一味違った芸術家の棲家である。建築家や、テキスタイルデザイナー、リベラシオン誌のイラストレーターのオフイスがあり、かつて、彫刻家アルベール・ブキヨンはここにアトリエを持っていた。

1908年生れの今はなきフランス人彫刻家ブキヨンは、22歳の時にローマ大賞という当時の栄誉ある芸術賞を受賞。パリの芸術大学等で彫刻の教授をしていた。彼の作品は小立像から、野外用彫刻、建造彫刻まで非常に幅広い。石、大理石、青銅等を使い、また、その確実なクロッキーの線はアカデミックの大家そのものだ。

1956年、レジオンドヌール勲章騎士章、アールエレットル勲章を受賞、1961年には、彫刻家では初めてポプリュスト賞を受賞する。彼の作品は、フランス国立近代美術館等の様々な美術館に収められ、また、パリ国立高等音楽学校等、数々の団体から制作依頼を受けた。現在、ジョルジュ・ブラッサンス公園にある1991年作「肉塊を担ぐ男」の彫像は、私達が気軽に訪れて鑑賞することのできる貴重な逸品だ。

この、フランスでは知る人ぞ知る彫刻家ブキヨンも、日本ではメディアにのる事がなかったせいかあまりその名前は知られていない。彼が生きた時代は現代美術が主流であったせいだろうか。そんな時代を彼はまさに、頑固なフランス職人のごとく自分のスタイルを突き通して生きた。

上の写真は彫刻家の家族であるが、広子さんは御主人と共に、誰でも作品に触れる事が出来るようにとアトリエをギャラリースペースに改装した。そこは、後ろを振り返るとブキヨン氏がやさしい目をして話しかけてくるような、真摯で暖かで静かな空間、パリでありながら、パリの喧騒から離れた心落ち着く芸術家の家、迷うことなく誠実に仕事をして生きた彫刻家の家だった。

アルベール・ブキヨンについての詳細はサイトで。
www.albert-bouquillon.com

 

●amiart


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