juin,2004
 





Deracine デラシネ
個展の理由

 


テレビのニュースで連日繰り返されるイラクのこと。子供達はそれを見て気づいていく。今年13歳になる娘が、『ここでの日常が、かの地では夢のようで、かの地での日常が、ここでは地獄のようだ』というようなことを言った。
"デラシネ"にはフランス語で〔根こそぎにされた〕、〔祖国を離れた〕、そして〔悪徳などを根絶させる〕という意味がある。今回の個展のテーマになった。

花・・・
芽の出た地で静かに咲いていた花が、何かの力によってどこかにいく。
根はどこかの水を吸おうとして、花を咲かせようとする。
根こそぎにされた草花が、新しい土に根をおろして花開く感じ。
あるいは、枯れていく感じ。

国・・・
異郷の地で衣食住する。異郷の空気を吸う。
もしも全ての国の人が、全ての祖国というものから、少し、離れたとしたら。
もっと生身で、解き放たれて、自由になっていく感じ。
または、不安な感じ。

●ATSUKO IMAI EXPOSITION  「Deracine/デラシネ」
パリから里帰りして個展を致します。御高覧頂ければ幸いです。
http://omotesando-garo.com/link.04/imai.html
表参道画廊 6月14日(月)〜19日(土)
Vernissage  6月14日(月) 5時〜8時
 

Deracine

Fleur ephemere d'un printemps evanescent.
Petales impetueux d'une vie qui va.
Beaute qui revele cette fragilite instantanee, comme si la coupure, la brisure, la blessure, tus, donnaient a la vulnerabilite son intense delicatesse.

Comme une efflorescence subtile, l'oeuvre vit par cela qu'elle ne dit pas.
Ne pas dire l'arrachement, la separation, la brisure.
Soustraire la disjonction.
Taire la fracture.

Ne pas dissimuler.
Ne donner a voir que la bonne part d'une renaissance continuee, menacee d'eternelle impermanence.
N'empreindre que la densite laconique du hasard qui jeta hors de la terre natale.

Comme une fleur liquide, flotter entre deux mondes, legere, etheree, impalpable.
Comme s'il y avait la un monde nouveau, aux confins du Japon et de la France, et qui ne vivrait que dans l'entre - deux.
Fugacite du mouvement, comme en une apesanteur evanescente, fugitive, ondoyante.

Deracine, l'enlevement a la terre.
L'exhalaison de la nostalgie florissante.
Fragrance du souvenir, cet ailleurs immense, cet au - dela universel.

Tout repose, ici, en l'ellipse. 
En l'indit. 
En l'indicible.

Augustin DERCROIS

春陽炎のように朽ちていく。
花びらのはかない生命が消えていく。
まるで断片のような、ひびのような、傷口のような、
束の間の移ろいやすさを映す美は、洗練された一瞬の優美さを生み出す。

繊細に密やかに花開くように、無言のまま作品は息づく。
分離、別離、断裂を語らぬまま
分離からの逃避
粉砕からの沈黙

紛れることなく
果てしなく続く不安定さに脅かされながらも、善なる部分を見出すのみ。
生れ落ちた大地の外に飛び出し、偶然で簡潔な濃密さを刻印するのみ。

液体できた花のように、2つの世界を彷徨う。
軽やかに、妖精のように、手で触れることができないもののように。
日本とフランスの果てに、新世界が存在するかのように、
そしてそのふたつの間でしか生きられないかのように。
次第に薄れていく無重力状態のような頼りない動き、束の間の、しなやかな

デラシネ、母なる大地からの離脱。
立ち込める生気溢れる郷愁の香り。
追憶の香り、無限の彼方に、そして … この世界の遥か向こうに。

すべてはここに、楕円を描きつつ戻ってくる。
語らぬまま
目に見えぬまま

オーギュスタン ドラクロワ  翻訳 平野 衣寿未

 

●amiart


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