mars,2002
 






女性とアートと平沢淑子展


パリ、セーヌの左岸は老舗の画廊が建ち並ぶ。画廊を訪れてのアートとの出会いはもちろん、作家にお目にかかれるのは特に嬉しい。
15年くらい前、まだ日本にいたころによく雑誌などから気になる記事を切りとっていた。2年前帰国した際に、懐かしみながら自室の整理をしていて、その中でも目にとまったのがフィガロかマリクレールかに載っていた当時の平沢淑子さんの記事だった。それは、パリの書店でふと見かけた彼女の画集の、青い水面が印象に残っていたからだろうか。

そのころ、平沢さんは、パリで小学生のお子さんをお一人で育てられながら制作をしていた。それも、ギャラリーの他、多くの重要な展覧会に出品するほどの仕事ぶりだった。フランスのグランパレ、パリ市立現代美術館、ロシアのエルミタージュ美術館、エジプトのナショナルミュジアム、そして日本ではフジテレビギャラリー等。記事に載っていた作品も忘れられないが、日本人の女性が世界中で堂々と発表しているそのパワーが絶対に凄いと思った。

平沢さんは、慶応大学の独文を卒業されてからNHKで仕事をされ、著名人との対談をこなし、そして、ある意味で偶然パリにたどり着いたようだ。幼少の頃から絵を描きながら、日本ではエリートで、しかも、人気アナの先駆け的存在。そんな才媛がパリに来たばかりにパリを棲家とし、日本には帰らず自分の本当の仕事を始めることになる。そしていつもフランスの哲学者や、アーティスト達、良き理解者が彼女のまわりにはいた。

子供を育てることと、自分の仕事をすること。いとも難しいやりくりを飄々とやりのけた。お子さんも今はキャリアのパリジェンヌだ。きっと女性の人生の後半というのは、さらにパワーが付いてくるに違いない。彼女のように、気さくで逞しく、母親のようでチャーミングでいることは不可能ではないのだ。水をテーマにしたウォーターピラミッドのシリーズは恐らく生涯のテーマなのであろう。その確かな形は、平沢さんの新たな一歩をも象徴している。

偶然友達の紹介でお会いする事が出来たのは、きっと必然性があったからなんじゃないか。昔の雑誌に載っていた母と子の肖像画は野坂昭如氏の所蔵だそうだが、この個展会場にあり、計らずも実物を目にすることが出来た。そして、勇気ある素敵な女性にお会いして、なんだか知らないが救われたような感じがする。平沢さんのヒストリーは本になって新潮社から出版されている。

平沢 淑子展
Galerie Daniel Besseiche
33,rue Guenegaud 75006 Paris
1月18日〜2月28日迄  

●amiart



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